訴訟問題にも発展した「白い恋人」問題
「白い恋人」とは
「白い恋人」は、北海道を代表するお土産として、石屋製菓が製造・販売している人気の洋菓子です。チョコレートをラングドシャで挟んだ、食べ始めると癖になって止まらないようなお菓子です。フレーバーとして、挟むチョコレートの種類によって、ホワイトチョコレートを挟んだ「白い恋人ホワイト」、ミルクチョコレートを挟んだ「白い恋人ブラック」があります。
このお菓子は1976(昭和51)年12月に発売を開始しました。この「白い恋人」というネーミングは、その数年前の1968年の映画「白い恋人たち」から着想を得たとされています。北海道らしいお土産、CM効果などにより、北海道といえば白い恋人といったイメージができ、今や土産の売り上げでは日本のトップクラスに入ります。
類似商品の広がりと訴訟事件
その北海道という独特な地域性、ラングドシャというオシャレなお菓子、「~の恋人」というロマンティックなネーミング、そのすべてが秀逸で、インパクトを放ちます。それだけにこの商品を「オマージュ」したお土産がやがて多発するようになります。
その筆頭に上がるのが、吉本興業が2011年に発売をした「面白い恋人」です。私が「おもしろい恋人」と話を切り出すと、大阪出身の同期から、それは「おもろい恋人」ですよと訂正されたのを覚えています。この菓子をめぐって、石屋製菓が吉本興業に対して、販売差し止めおよび損害賠償の訴訟が起こされ、2013年に和解が成立しましたが、パロディによる二次使用について考えさせられる、決して「面白い」とは思えない事件となりました。その時はすでに日本中に「白い恋人」を「模倣」した製品が数多く存在していましたから、各メーカーはビクビクものだったと思われます。
全国に存在する「恋人」たち
「白い恋人」の「オマージュ」製品は、現在40種類以上日本各地に存在しています。
そのほとんどが「(地名)の恋人」というパターンのネーミングです。
「青森の恋人」はりんごと方言を前面に。
「茨城の恋人」は葵の御紋でひれ伏すしかありません。
「東京、お前もか。」と叫ぶ人がいそうです。
関西、恋人を作りすぎです。
山口は名産物のフグで勝負です。安全です、きっと。
数ある恋人シリーズの中で、これが一番お土産としてはアリかなと感じました。
ちんすこうという定番をあえて選ばずに出す変化球としてのインパクトは大です。