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これどっちが先?地域が違うのに似すぎるお土産紹介

これどっちが先?地域が違うのに似すぎるお土産紹介

2022-10-07 あっちゃん所長

旅行中、知人、家族へのお土産を店で選ぶときは、相手を思いながらワクワクするものです。けれども、「○○と一緒よね?」と言われガッカリすることも。ここでは地域が違うのに似すぎるお土産について紹介します。
あっちゃん所長

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あっちゃん所長

長崎県在住のWEBライターです。読者の方に行きたいと思っていただけるような楽しい記事作成を目指してまいります。好きな旅行先は東京・沖縄・東北、そして地元の九州です。博物館・グルメ・温泉好きな活発なインドアです。

訴訟問題にも発展した「白い恋人」問題

「白い恋人」とは

「白い恋人」は、北海道を代表するお土産として、石屋製菓が製造・販売している人気の洋菓子です。チョコレートをラングドシャで挟んだ、食べ始めると癖になって止まらないようなお菓子です。フレーバーとして、挟むチョコレートの種類によって、ホワイトチョコレートを挟んだ「白い恋人ホワイト」、ミルクチョコレートを挟んだ「白い恋人ブラック」があります。



このお菓子は1976(昭和51)年12月に発売を開始しました。この「白い恋人」というネーミングは、その数年前の1968年の映画「白い恋人たち」から着想を得たとされています。北海道らしいお土産、CM効果などにより、北海道といえば白い恋人といったイメージができ、今や土産の売り上げでは日本のトップクラスに入ります。

類似商品の広がりと訴訟事件

その北海道という独特な地域性、ラングドシャというオシャレなお菓子、「~の恋人」というロマンティックなネーミング、そのすべてが秀逸で、インパクトを放ちます。それだけにこの商品を「オマージュ」したお土産がやがて多発するようになります。

その筆頭に上がるのが、吉本興業が2011年に発売をした「面白い恋人」です。私が「おもしろい恋人」と話を切り出すと、大阪出身の同期から、それは「おもろい恋人」ですよと訂正されたのを覚えています。この菓子をめぐって、石屋製菓が吉本興業に対して、販売差し止めおよび損害賠償の訴訟が起こされ、2013年に和解が成立しましたが、パロディによる二次使用について考えさせられる、決して「面白い」とは思えない事件となりました。その時はすでに日本中に「白い恋人」を「模倣」した製品が数多く存在していましたから、各メーカーはビクビクものだったと思われます。

全国に存在する「恋人」たち

「白い恋人」の「オマージュ」製品は、現在40種類以上日本各地に存在しています。
そのほとんどが「(地名)の恋人」というパターンのネーミングです。

「青森の恋人」はりんごと方言を前面に。




「茨城の恋人」は葵の御紋でひれ伏すしかありません。


「東京、お前もか。」と叫ぶ人がいそうです。


関西、恋人を作りすぎです。


山口は名産物のフグで勝負です。安全です、きっと。


数ある恋人シリーズの中で、これが一番お土産としてはアリかなと感じました。


ちんすこうという定番をあえて選ばずに出す変化球としてのインパクトは大です。


風情溢れる上品な銘菓に

次に萩の月について紹介をします。
萩の月は、1979(昭和54)年9月から菓匠三全を販売元として流通を始めた、カステラ生地でカスタードクリームを包んだ宮城県を代表する菓子です。

だんだんと萩の月の認知度が高まり、広がっていく中で、消費者が自ら工夫をしてさまざまな食べ方をし始めた、珍しい菓子です。常温でそのまま食べる人、冷蔵庫で冷やしてから食べる人と別れました。さらに、松任谷由実さんが「冷凍庫で半分凍らせた後でアイスクリームのような食べ方をすると美味しい」と言ったことでそのような食べ方がひろがりました。
産地の宮城は萩の名所として知られる場所があり、空に満月が浮かぶという風情を表したネーミングが、現地の人の求心力を生んでヒットしたまさに「銘菓」です。

萩の月に似たお土産たち

萩の月についても、似ているお土産があるという声もあります。それは、お菓子の製法やその外見がまさにそっくりであるという特徴が見られます。萩の月にそっくりなお土産にはどのようなものがあるか、それをいくつか紹介をします。

かすたどん(鹿児島・薩摩蒸氣屋)



かすたどんは、鹿児島の菓子の製造・販売を手掛ける薩摩蒸氣屋(1988(昭和63)年創業)の商品です。この会社の商品に、同じく鹿児島を代表するお菓子であるかるかんもあります。
鹿児島県産の新鮮な卵を使用したカスタードはとろりとした食感で、スポンジもふんわりと仕上げた、ソフトな風味のお菓子です。

札幌タイムズスクエア(北海道・菓か舎)



札幌タイムズスクエアは、菓か舎(かかしゃ)が製造する、口当たりのやさしいカスタードケーキです。なめらかなカスタードクリームを使用した「プレーン」味と、カスタードと北海道産小豆で作ったあんを包んだ「アズキ」味の2種類が主に販売されています(ほかにも「れん乳&れん乳いちご」味や「北海道産かぼちゃ」味もあります)。

菓か舎で「札幌タイムズスクエア」の販売を始めたのが1990(平成2)年。今ではお土産として高い評価を受けている人気商品となっています。

日本全国にある製造社の努力は続く

萩の月にそっくりなカスタードケーキは日本各地にお土産として販売されています。ただ、萩の月は企業秘密の製造方法を持っており、萩の月が独走状態の感があります。しかしその味を超えるべく、全国の製造社は日々工夫をしながら質の向上に努めています。

鎌倉VS福岡の仁義なき鳥合戦

私が東京旅行をした際に、そのお土産を見て回って気づきました。鎌倉のお土産である「鳩サブレー」を見たときに、「あれ?これ福岡の「ひよこサブレー」と一緒じゃん!」と思ったのです。では、それぞれのお土産を紹介します。

鎌倉の歴史ある鳩サブレー



こちらが鎌倉の「鳩サブレー」です。関東の方にはお馴染みだと思われます。鳩サブレーは、鎌倉の豊島屋(としまや)が製造・販売しているお菓子です。鳩なのは、鶴岡八幡宮の向き合った鳩の着想からです。



この豊島屋は創業が1894(明治27)年です。1897(明治30)年に、創業者が外国人からもらったビスケットがヒントとなり、彼は日本のこどもたちに喜ばれるお菓子だと直感します。彼はそれを日本人に受け入れられやすい形に工夫をしていきます。外国では当たり前に使用していたバターは日本人には合わなかったため、苦労をしたといいます。
途中、「関東大震災」や「第2次世界大戦」、そしてそれに伴う物資不足に遭いながらも、何度も乗り越え、現在では店舗売り上げのほとんどがこの「鳩サブレー」で占めています。今や神奈川県を代表するお土産のひとつとなっています。

福岡の老舗が開発したひよこサブレー

そして対するは



「ひよこサブレー」です。

ひよこサブレーは福岡の「ひよこ本舗吉野堂」が製造・販売しているお菓子です。この店ではもともと「銘菓ひよこ」という、しっとりとした和菓子を中心に作っていました。その製造は約110年続いています。



さて、「ひよこサブレー」を製造するにあたり、当店はオーストリアの菓子職人であるエベナウワー氏を招き、試行錯誤をしながら、こだわりのサブレーを作り上げました。原材料も独自で研究して編み出したブレンド小麦粉や、北海道産の良質な100%バターを取り入れて、さっくりとしたサブレーにしました。ひよこサブレーの発売開始は1983(昭和58)年です。

ちなみに、東京にも「東京ひよこサブレー」というのがあります。これはひよこ本舗吉野堂が東京へ進出をし、東京で新たに製造・販売を始めたことに端を発します。パッケージも中身も一緒です。

新たなライバル……かも

さて、鳩サブレーにそっくりなお土産はこればかりではありません。有名どころでいえば、京都の「鴨サブレ」です。



京都だから鴨です。

井筒八ッ橋本舗が製造・販売しているお菓子です。
鳩サブレーと比べると、スリムなフォルムをしており、鳩よりも明瞭なラインを見ることができます。
味はかなり似ています。どちらも豊かなバターの香りがしますが、鴨サブレの方が微妙にしっとりしています。
鴨サブレは2012年に誕生しました。

なぜお土産は似てしまうのか?

お土産屋で買い物をすることが多い方はこのように感じるかもしれません。「どこへ行っても扱うお土産は大して変わらないな」と。
実際に全く異なる地域どうしで、名前・味・形・デザインなどが似すぎていて、「これはパクりなのでは?」と疑問に思う方も多いはずです。それに白い恋人のケースのように、訴訟問題は起きないのかと心配になります。
ではなぜお土産はこのように重複する傾向にあるのでしょうか?

《理由1》お菓子の種類が限られる

お土産として扱うお菓子の種類が、観光地の数よりもはるかに少ないから、結果的に重複してしまうのです。お菓子は何でもいいというわけではありません。お土産としての条件として、日持ちがすることは必須です。製造して2~3日で傷むようなものではお土産にはできません。
そうなると、お土産として適するお菓子のジャンルや種類が限られてしまいます。結果的にお土産がかぶってしまうという現象が起きます。

《理由2》製造業者は権利にこだわらない

お土産を製造・販売する業者は、その製品や類似品を販売する権利を得て独占するということはあまり考えないようです。それは、独占することのデメリットの方が大きいと判断しているからです。そうすることで人々からのイメージが悪くなったり、逆に自分たちよりも早く商品化した企業から訴訟を起こされる可能性を考えたりします。また、製造業者の多くは、自社の製品を食べて喜んでもらいたいということに集中しているところも多く、独占して収益を上げる事を至上命題にはしたがらないことも原因としてあります。

《理由3》類似商品もまた自社製品の売り上げに貢献しているという発想

異なる会社のコンビニが近くに建っているケースは、いろいろな場所で見かけます。しかしお互いに営業妨害だといがみ合うことは稀です。買う、買われるというのはお互い様、それよりも人々がコンビニを利用する習慣がついてくれるのを良しとするとお互いが捉えていれば、問題ではないと考えるのです。別の地方と似ているのが売られているから、試しに食べ比べようと考える人もいるでしょう。そのようなメリットもあることも事実です。

まとめ



お土産は似ているものなのだと思い、単純にその味を楽しみ、買ってきてくれた人に感謝をしたり、その旅に思いを馳せたりするのが、良いお土産との付き合い方となります。たとえ歴史の浅いお土産だったとしても、それを商品化するための苦労はあったでしょうし、それにまつわるドラマもあったかもしれません。そのようなことをむしろ知って、お土産を心から味わうことの方が、ずっと豊かな楽しみ方となるのではないでしょうか。みなさんも誰かからお土産をもらった時も、みなさん自身が旅行に行ってお土産を選ぶときにも、そのような視点でお土産を眺めてみると、今までにない発見があるかもしれません。

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