石川が誇る珍スポット・ハニベ岩窟院
ハニベ岩窟院は1951年に開かれた洞窟寺院です。
名称であるハニベとは、ハニワを作る"ハニベ師"のことで、現在では土で彫刻を作る彫塑家(ちょうそか)のことを指します。
文字通り、ハニベ岩窟院にはハニベ(彫塑家)が作り上げた像が数多く展示されています。
展示されている彫像の多くは初代院主・都賀田勇馬(つがたゆうま)氏によって制作されたもので、それぞれの作品に世界平和や人類繁栄の願いが込められているそうです。
初代院主が亡くなってからは、息子の都賀田伯馬(つがたはくま)氏が2代目として、これまた多くの彫像を生み出しました。
親子2代で作り上げた院内には、仏の世界や地獄での様子を再現した展示品がびっしり。
それゆえにハニベ岩窟院は普通の寺院とは違う、カオスな世界を楽しめると人気です。
珍スポットでいえば石川、いや北陸随一なのだとか。少し変わった観光スポットに訪れたいという方にはうってつけの場所といえるでしょう。
閲覧注意!ハニベ岩窟院は予習が大事
スタートからゴールまで、衝撃的な景色が続くハニベ岩窟院。実際に訪れた方の口コミを見てみると「怖かった」「気味が悪かった」という声が多く見られます。
中には子どもの頃に連れていかれて、トラウマになってしまったという方も。
そのためハニベ岩窟院へ行く際は、事前にどんなところなのか予習しておくのがおすすめです。
ここではハニベ岩窟院の見どころをいくつかご紹介します。インパクトが強い写真が多いので、心してご覧ください。
ハニベ岩窟院に訪れて最初に見えてくるのが、いかり肩の巨大な大仏さま。
こちらはハニベ釈迦牟尼大仏(しゃかむにだいぶつ)と呼ばれる大仏さまで、ハニベ岩窟院が開洞されてから32年後の1983年に建立されました。
「頭だけの大仏なんて珍しい」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、実はこのハニベ大仏はまだ未完成で、完成形としては高さ33mの坐像を予定しているのだとか。
とはいえ、ハニベ大仏の頭部が完成してから40年近くが過ぎた今、完成形を見るのは難しいのではないかと言われています。
ハニベ大仏の下には部屋があり、そこにはたくさんの水子地蔵が並べられています。
そう、ハニベ岩窟院はただの珍スポットではなく、水子供養をするための寺院でもあるのです。
巨大なハニベ大仏のすぐ近くには、小さなサイズの大仏さまが。
お顔がハニベ大仏とそっくりですが、どうやらこちらの大仏さまはハニベ大仏の完成形をイメージした仏像のようです。
岩窟院前の広場
ハニベ大仏から岩窟院へ向かうまでの道中も、なかなかカオスな世界が広がっています。
先へ進み、岩窟院前の広場へ行くと、何やらライオンやゾウの姿が……。
なぜそこにいるのかは分かりませんが、きっと意味があって置かれているのでしょう。
ライオンやゾウの近くには、エキゾチックな仏像や聖徳太子像、哲学者・西田幾多郎(にしだきたろう)像などが無造作に並んでいます。
中にはよくわからない像もありますが、このあたりは説明書きがないので、あまり深く考えずに進んでいきましょう。
阿弥陀堂
広場のすぐ近くにある阿弥陀堂(あみだどう)では、願いごとが叶うようにお祈りすることができます。
『願皿』と呼ばれる、ハニベ焼きで作られたお皿に願い事を書き、満願成就の聖函へ投げ入れると願いが叶うとのこと。みなさんも訪れたらぜひ挑戦してみてください。
隆明殿
阿弥陀堂を出て、岩窟院のすぐ手前にあるのが隆明殿(りゅうめいでん)。
ハニベ岩窟院の初代院主、2代目院主の作品が展示されたギャラリーです。
誕生仏をはじめ、観音像、義経像などが見られます。
岩窟院
ハニベ岩窟院で見逃せないのがやはりここ。
こちらの岩窟院は、石切場跡の洞窟を利用して作られました。
洞窟の長さは約150mとそこまで長い距離ではありませんが、中にはおびただしい数の仏像群が展示されているので、見応えは抜群です。
これまで以上にインパクトの強い展示物が多いので、今後ハニベ岩窟院にお出かけする予定の方は岩窟院の中がどうなっているのかしっかりチェックしておきましょう。
岩窟院に入り、最初に見えてくるのが夢牛(ゆめうし)。
夢牛はハニベ岩窟院の初代院主が自身の夢に出てきた牛をつくったものだそう。
夢牛を通り過ぎて真っすぐ進むと、今度はお釈迦さまの生涯を描いたエリアに辿り着きます。
中央には隆明殿にもあった誕生仏、その周りにはお釈迦さまの生涯を描いたレリーフが展示されています。
誕生仏はその名の通り、お釈迦さまが生まれた時の姿をあらわしたものです。
お釈迦さまは摩耶夫人の右脇から生まれ、7歩進んだのち、「天上天下唯我独尊」と唱えたとされています。
レリーフもなかなか衝撃的です。れっきとした美術品とは理解できても、子どもと一緒に見てまわるには少々刺激が強いかもしれません。
涅槃仏
岩窟院を出たあとは、自然公園へと向かうことができます。
自然公園までは坂道となっているので、足に自信のない方は元の道へ戻ってくださいとのこと。また、地面が濡れるとぬかりやすくなるので、雨の日も注意が必要です。
さて、岩窟院の中にはお釈迦さまの生涯をたどったレリーフがありました。しかし、実はあのレリーフには涅槃の場面がないんです。
なぜなら岩窟院の作品は、自然公園にある涅槃像を見て、やっと完結するように作られているからです。
涅槃像までの道のりは険しいですが、ハニベ岩窟院を楽しむならぜひ自然公園まで行ってみてください。
ハニベ岩窟院はお土産もインパクト抜群
ハニベ岩窟院にはユニークなグッズを販売するお土産屋さんもあります。
ここでしか買えない貴重なお土産がたくさんあるので、見学を楽しんだあとはぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょう。
こちらは『祈り鬼』というハニベ焼き。岩窟院の中にいる鬼とは打って変わって、なんとも憎めない表情をしています。
お土産の中にはハニベ大仏グッズも。Tシャツ・手ぬぐい・絵ハガキと盛りだくさんです。
ハニベ岩窟院に訪れた記念に、またちょっぴり変わった石川土産として買ってみるのも良さそうです。
まとめ
兼六園や金沢21世紀美術館など、心奪われる美しい観光スポットがたくさんある石川県。
人気の観光スポット巡りも面白いですが、「少し変わったところへ行きたいな」という方は、ハニベ岩窟院がとてもおすすめです。
ただし、中には苦手と感じる人もいるようなので、検討しているのであれば下調べをお忘れなく。
<施設情報>
住所:〒923-0065 石川県小松市立明寺町1番地
電話番号:0761-47-3188
営業時間:4~9月…9:00~17:00/10月~3月…9:00~16:00
拝観料:大人…800円、小人…500円
URL:http://www.hanibe.com/