伏見神宝神社
京都にある神社の中でも、ひときわ龍にちなんだものを見られるのが、「神宝(しんぽう)さん」の愛称で親しまれる『伏見神宝神社(ふしみかんだからじんじゃ)』です。社名の「神宝」は、物部氏の祖神・饒速日尊(ニギハヤヒノミコト)が天上よりもたらしたと伝わる『十種神宝(とくさかんだから)』に由来しています。
こちらは狛犬ならぬ狛龍がいる神社として有名です。本殿前では、左右に祀られた『天龍』『地龍』が参拝者をあたたかくお出迎え。本殿の左奥には摂社『龍頭社(りゅうずしゃ)』があり、龍頭大神が祀られています。
龍頭大神は『竹取物語』にて、かぐや姫が求婚者の貴族に持ってくるようお願いした『龍の玉』の持ち主。それにちなみ、龍頭社のすぐ近くには、玉をくわえた龍頭像が鎮座しています。祈願しながら口の中の玉を転がすことで、願いが叶いやすくなるとされるので、訪れた際はぜひ挑戦してみては。
このほか、金色の龍の画印が押された御朱印や、炎を吐く龍の歯をモチーフにした古代紋様のお守り、可愛らしい龍みくじなど、授与品も龍にちなんだものばかりが揃っています。伏見稲荷大社の奥社奉拝所から歩いて約3分の距離にあるので、伏見稲荷大社とセットでぜひ足を運んでみてください。
<詳細情報>
住所:〒612-0811 京都市伏見区深草笹山町15
電話番号:075-642-5838
瀧尾神社
続いてご紹介するのが、京阪東福寺駅から徒歩1分ほどの距離にある『瀧尾神社』です。ご祭神は大国主神(おおくにぬしのかみ)・弁財天(べんざいてん)・毘沙門天(びしゃもんてん)。大丸百貨店の創業者である下村彦右衛門が毎日参拝したところから、金運・仕事運アップのパワースポットとして有名です。
見どころはなんといっても、拝殿の天井に据えられた巨大な龍!その長さは全長8メートルもあり、かつては「夜な夜な川へ水を飲みに行っている。」と近隣住民に恐れられていたほど迫力満点です。
近隣住民に恐れられていた時は龍が逃げないよう、金網を張って龍を閉じ込めていたそうですが、現在はその金網も外され、自由に見学することができます。お出かけの際はぜひ拝殿へ上がり、間近で見る龍の姿からパワーをもらいましょう!
瀧尾神社ではこのほかにも、天井の龍を手掛けた京の彫物師・九山新太郎による彫物を多数見ることができます。本殿の正面で見られる霊獣らしき彫物から、社内にある阿吽の龍、獏、鶴、鳳凰、尾長鳥や水鳥、霊獣の犀や麒麟、さらに回廊にある十二支の動物まで、どれも見ごたえ抜群です。
<詳細情報>
住所:〒605-0981 京都市東山区本町11-718
電話番号:075-531-2551
真名井神社
『真名井神社(まないじんじゃ)』は「元伊勢」の名で知られる『籠神社(このじんじゃ)』の奥の院です。神代の昔、豊受大神(とようけのおおかみ)を祀る『匏宮(よさのみや)』を建てたのが始まりで、のちに天照大神も遷座したと伝えられています。その後、両大神が三重県の伊勢神宮に遷り、本宮は現在の場所へ移動。社名を籠神社に改め、もともと匏宮があったところは『奥宮・真名井神社』となりました。
そんな長い歴史を持つ真名井神社は、龍神様のいる神社としても有名です。神社の入口にある鳥居の前には狛龍が鎮座しており、厳かな雰囲気を醸し出しています。龍の手元にある2色の玉は『潮満珠(しおみつたま)』『潮乾珠(しおひるたま)』と呼ばれ、潮の満ち引きを自由に操れる力を持っているそう。触るとご利益が授かれるかも!?
また、狛龍だけでなく、境内にある『天の真名井の水』も見どころの1つ。この水は籠神社海部家の三代目祖神である天村雲命(あめのむらくものみこと)が、神様の世界より持ち帰った御神水と伝えられています。この霊験あらたかな御神水は、飲用水として持ち帰ることが可能。参拝へ行く際は、ぜひ空のペットボトルをお忘れなく!
<詳細情報>
住所:〒629-2242 宮津市字大垣430
電話番号:0772-27-0006
URL:https://www.motoise.jp/about/okunomiya/
貴船神社
『貴船神社』は日本三大龍穴がある京都屈指のパワースポット!狛龍や龍の彫物などはありませんが、龍神様を祀る神社ということで、辰年の2024年にはぜひ一度訪れていただきたい神社の1つです。龍神様とも呼ばれるご祭神・高龗神(たかおかみのかみ)は、降雨・止雨を司る神様として知られています。
本宮から10分ほどの距離にある奥宮は、貴船神社創建の地であり、日本三大龍穴がある場所として有名です。龍穴は本殿の真下にあると伝えられ、直接見ることはできませんが、強大な力を噴出するパワースポットとして、多くの参拝者が訪れています。
また、貴船神社は縁結びのパワースポットとしても大人気。磐長姫命(いわながひめのみこと)を祀る『結社(ゆいのやしろ)』は、恋愛成就にご利益があるとされ、いつも多くの参拝者で賑わっています。祈願成就にご利益があるとされる『結び文』や、水に紙を浮かべて運勢を占う『水占みくじ』などもあるので、参拝へ訪れた際はぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
<詳細情報>
住所:〒601-1112 京都市左京区鞍馬貴船町180
電話番号:075-741-2016
URL:https://kifunejinja.jp/
八坂神社
『八坂神社』も龍穴がある神社として知られる辰年おすすめスポット。神社がある東山は平安京の東、青龍が司る地であり、本殿の真下には龍穴があると伝えられています。神社によると、龍穴は神様を祀る内々陣の下あたりにあるのだそう。亀腹状に盛り上がった漆喰で固められているため、今となっては見ることができませんが、こちらもパワースポットとしてぜひ訪れておきたいところです。
また、西楼門をくぐった先に見える狛犬・獅子像も見逃せないポイント。台座を見ると、水しぶきを上げて躍動する青龍の姿が描かれているのがわかります。言い伝えによると、本殿の下にある龍穴には、この青龍が棲んでいるのだそう。八坂神社へ参拝に行く際はぜひこちらも併せて見てみてください。
参拝を終えたら社務所にて、龍穴から湧く清水で祓い清めた『青龍石』を授かって帰るのがおすすめ。青龍石は神棚もしくは自宅の東側に祀ることで、福を呼ぶとされています。活気に満ちた1年にするためにも、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。
<詳細情報>
住所:〒605-0073 京都市東山区祇園町北側625
電話番号:075-561-6155
URL:https://www.yasaka-jinja.or.jp/
九頭竜大社
『九頭竜大社』は今回ご紹介する神社の中で最も新しい神社です。創建は1954年。開祖・大西正治朗の夢枕に九頭竜弁財天大神が現れ、ご神託を授けたことが始まりとされています。特徴はなんといっても、神社独特の参拝方法。九頭竜大社では創建された当初から、二礼四拍手二礼、その後、「お千度の棒」と呼ばれる棒を9本持ち、本殿を1周するごとに棒を1本返す……という少し変わったスタイルとなっています。
境内には龍がぐるりと巻きついた手水舎や龍神様の石など、龍を見られるスポットが盛りだくさん。参拝を終えたあとに龍を探して境内を周るのもおすすめです。本殿の左、雅楽殿に納められている九頭竜の絵は、九頭竜大社御発祥66周年を迎えた2020年に猫猫寺(にゃんにゃんじ)より奉納されたもので、こちらも見どころの1つとなっています。
社務所では厄除け・家内安全・招福などにご利益がある『昇竜クリスタル』をはじめ、雅楽殿に納められている九頭竜の絵と同じものが描かれた絵馬、龍に囲まれた玉のお守り『水晶竜守』などが授かれます。
<詳細情報>
住所:〒601-1253 京都市左京区八瀬近衛町681
電話番号:075-781-6405
URL:https://www.kuzuryutaisha.or.jp/
妙心寺
京都には天井に龍の絵が描かれた寺院が複数あります。中でも有名なのが、臨済宗妙心寺派の大本山『妙心寺』の『雲龍図』。こちらは1656年、法堂が建造された際に描かれたもので、江戸時代を代表する絵師・狩野探幽が手掛けたことで知られています。
雲龍図が完成するまでに要した期間はなんと8年。直径12メートルの円相に描かれた龍は迫力満点です。また、数百年前に描かれたにも関わらず、変色が少なく、色鮮やかなのも印象的。これは絵を描く際に、貝殻や草木の汁を絵具として使っているからなのだそう。驚くことにこれまで一度も修復されたことがないそうで、長い歴史を感じることができます。
なお、妙心寺の雲龍図はどの角度から見ても龍と目が合うように描かれていることから、「八方睨みの龍」とも呼ばれています。実際のところはどうなのかといいますと……。実は妙心寺の雲龍図は写真撮影が禁止されているため、実際に足を運ぶ以外確認する術がありません。参拝へ行く際はぜひ雲龍図を見に法堂へ立ち寄ってみてください。
<詳細情報>
住所:〒616-8035 京都市右京区花園妙心寺町1
電話番号:075-461-5226
URL:https://www.myoshinji.or.jp/
天龍寺
続いてご紹介する『天龍寺』も、天井に描かれた雲龍図が見事なスポットです。こちらはもともと雲に乗る龍の絵が描かれていましたが、1997年に天龍寺開山夢窓国師650年遠諱(おんき)記念事業として、日本画家・加山又造画伯によって新たに雲龍図が制作されました。
天龍寺の雲龍図も妙心寺同様、どの角度から見ても龍に睨まれているように錯覚することから「八方睨みの龍」と呼ばれています。妙心寺の雲龍図と比べて歴史は浅いものの、こちらも見事な睨みっぷり。躍動する見事な龍は、縦10.6メートル、横12.6メートルの天井に厚さ3センチメートルの杉板159枚を張り合わせ、漆、白土を塗った上に直接墨色で描かれています。
雲龍図は春夏秋の特別参拝期間を除き、土曜・日曜・祝日のみ見ることが可能。また、毎年2月には大方丈にて、現在の雲龍図が制作される前に描かれた鈴木松年画伯の雲龍図が一般公開されます。
<詳細情報>
住所:〒616-8385 京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町68
電話番号:075-881-1235
URL:https://www.tenryuji.com/
まとめ
今回ご紹介した寺社以外にも、京都には龍とゆかりが深いスポットがたくさんあります。権力やパワーの象徴とされる龍がいる寺社へ参拝に行くことで、2024年がより良い1年になるかもしれません。辰年の2024年はぜひ、龍とゆかりが深い寺社へお出かけしてみてください。