川越大師喜多院(川越市)
100本前後のソメイヨシノが数々の堂宇を彩る川越大師喜多院
川越大師喜多院は、埼玉県川越市に建立されている天台宗の寺院です。平安時代の830年に慈覚大師円仁(じかくだいしえんにん)によって創建されたと伝わっています。その後、鎌倉時代の1205年には火災の被害に見舞われますが、伏見天皇の命によって慈恵大師(元三大師)(じえだいしがんざんだいし)を祀って復興されました。寺院の境内には100本前後のソメイヨシノが植栽され、例年3月下旬から4月上旬にかけて数々の堂宇を薄紅色の花で装飾します。
寺院の境内には歴史感を漂わせる堂宇が、いくつも点在しています。中央には本堂の役割を担う慈恵堂が建立されています。桁行(けたゆき)9間、梁間(はりま)6間、入母屋造り(いりもやづくり)の建物が、銅版葺(どうはんぶき)の屋根で覆われています。大師堂の愛称で呼ばれることの多い本堂は、早春には北面をソメイヨシノが彩ります。
慈恵堂の北東に建つのは、総高約13メートル、方三間(ほうさんげん)の多宝塔です。下層は方形、上層は円形で、その上に宝形造りの屋根が乗っかっています。幾何学的にもバランス感覚があふれる塔は、ソメイヨシノにすっぽりと覆われます。
桜の花の見頃時期になると、境内には数多くの人々が訪れます。レジャーシートを敷いてお花見を楽しむグループの姿も見かけることができます。周囲には露店も登場するので、食べ物や飲み物は現地調達できます。
毎年、枝いっぱいに薄紅色の花を咲かせる「徳川家光お手植えの桜」
川越大師喜多院では境内でお花見を楽しむことができるのですが、見逃したくない桜が客殿の中にあります。川越大師喜多院は長い歴史の中で、1638年1月に川越大火に見舞われました。その当時の堂宇は、山門を除いて全て焼失してしまったのです。その直後に江戸幕府第3代将軍の徳川家光がすぐに復興に着手し、江戸城の紅葉山の別殿を移築して、客殿、書院としました。これによって「家光誕生公誕生の間」が客殿に、「春日局化粧の間」が書院に残されているのです。
かつての江戸城の佇まいを偲ばせる客殿には、日本庭園が整備されています。その中に徳川家光が手植した桜があるのです。「徳川家光お手植えの桜」は2代目のシダレザクラですが、今でも元気に育っています。毎年、細長く垂れ下がった枝いっぱいに、薄紅色の花を咲かせます。開花の時期はソメイヨシノより数日早いタイミングです。
<施設情報>
施設名 川越大師喜多院(かわごえたいしきたいん)
住所 埼玉県川越市小仙波町1-20-1
電話番号 049-222-0859
アクセス 東武東上線・JR川越線「川越駅」より徒歩約20分、東武東上線「川越市駅」より徒歩約18分、西武新宿線「本川越駅」より徒歩約15分