成田山公園(成田市)
成田山公園(なりたさんこうえん)は成田山新勝寺(なりたさんしんしょうじ)の境内の一画を整備した公園です。新勝寺は毎年、初詣の参拝者数で全国1位、2位を競う屈指の初詣スポットとなっています。平安時代の940年に開山された真言宗智山派の寺院で、大本山の一つとなっています。寺院の表玄関の役割を担う総門は、堂々として荘厳な雰囲気を漂わせています。成田山開基1070年祭記念大開帳を記念して、2008年に高さ約15メートルの総欅造りで建立されました。欄間には十二支の木彫刻が施され、楼上には「生まれ歳・守り本尊」の八体仏が奉安されています。
総門の先にはさらに、もう一つ門があります。1831年に建立された仁王門です。門の右には口を開いた阿形の那羅延金剛像を、左には口を閉じた吽形の密迹金剛像が安置されています。門の中央に吊るされた大きな赤い提灯が、ひと際目を引きます。大きな文字で「魚がし」と書かれた提灯は、東京の築地の魚河岸の旦那衆が1968年に奉納したものです。重量は凡そ800キログラムにもります。
2つの門を潜り石段を上ると大本堂です。間口約95メートル、奥行約60メートル、棟高約33メートルの大きさの入母屋造りで建造されています。堂内の中央のご本尊の不動明王像は、向かって右側に矜羯羅童子(こんがらどうじ)、左側に制咤迦童子(せいたかどうじ)を従えます。大本堂は寺院の中心道場として、一年を通して護摩祈祷が行われています。
しっとりと趣ある彩りで公園を包む平均樹齢70年を超える梅の木
大本堂の東のエリアは、成田山公園が整備されています。東京ドーム約3.5個分、16万5000平方メートルの広大な公園は、四季折々の表情を見せてくれます。早春には紅梅、白梅が季節の彩りをつけます。例年2月中旬から3月中旬の時期には、園内は梅の香りで満たされます。梅の花の見頃時期に合わせて「成田の梅まつり」が開催されています。
公園の入口から中央に向かう園路沿いには、紅梅と白梅がバランスよく溶け合います。園内には、460本前後の梅が植栽されているのです。平均樹齢70年を超える老木が多いため、派手さはありませんが、全体としてはしっとりと趣ある花々を楽しむことができます。
園内で梅の木が密度高く植えられているのは、公園の中央で静かな水面をたたえる、龍樹の池、文殊の池の北側の斜面です。なだらかな傾斜には、紅梅、白梅が立体的に折り重なり合います。
龍樹の池や文殊の池の畔は、梅の花で縁取られます。紅白の梅の花の彩りが映り込む水面を、数多くの鯉が泳ぎまわります。
梅林から西北の方角には、梅の花越しに平和大塔の姿を拝むことができます。総高約58メートルの大塔の2階には明王殿(みょうおうでん)が設けられ、大塔のご本尊である不動明王(ふどうみょうおう)、四大明王(ゆんだいみょうおう)、昭和大曼荼羅(しょうわだいまんだら)、真言祖師行状図(しんごんそしぎょうじょうず)が奉安されています。最上階の5階の金剛殿(こんごうでん)には知恵を象徴する5体の五智如来(ごちにょらい)と大日如来(だいにちにょらい)が鎮座し、天井の直径約11メートルの円形ステンドグラスには、仏教界で最も美しい花とされる「宝相華(ほうそうげ)」と、荘厳な金剛界曼荼羅(こんごうかいまんだら)が描かれ、色あせることのない光を照らし続けています。
「成田の梅まつり」の多彩なイベントが行われる西洋庭園
平和大塔の下には西洋庭園が整備されています。中央の噴水を囲むように多種多様の草木が植栽されています。「成田の梅まつり」の開催期間中には、イベント広場に変身します。
噴水の北に接するように特設のステージが設置され、津軽三味線、箏、尺八、二胡などによって伝統音楽が披露される「観梅の演奏会」が行われます。様々な楽器の音色が梅林に響き渡り、早春の気分を盛り上げてくれます。
特設ステージの西に設けられた甘酒接待所では、無料で甘酒を頂くことができます。麹を使った手作りの甘酒は、春寒の中で冷えた体を温めてくれるようです。アルコールは入っていないので、子どもでも飲むことができます。他にも文殊の池北側の梅林の中では、表千家による観梅の野点も行われます。梅の花を眺めながらお茶を味わえば、きっと風流人になることでしょう。
特設ステージの東の花壇では、菜の花が満開です。梅の紅白の彩りに黄色の彩りが加わり、色彩にアクセントをつけてくれます。菜の花も梅と同じ時期に花を咲かせることを再認識することができます。「成田の梅まつり」の開催期間中には、成田市の観光キャラクター「うなりくん」が姿を現すこともあるようです。市内に建設されている国際空港と、特産品の「うなぎ」をかけあわせて、名づけられました。2010年4月にデビューして以来、市内各所での観光イベントを盛り上げています。
菜の花ばかりでなく河津桜も、梅と同時期に花を咲かせます。龍樹の池の東に繋がる龍智の池の畔では、河津桜の姿を見ることができます。成田山公園では、梅、菜の花、河津桜の3種類の花で、たっぷりと春の訪れを感じることができるのです。
<施設情報>
施設名:成田山公園(なりたさんこうえん)
住所:千葉県成田市成田1
電話番号:0476-22-2111
開園時間:入園自由
定休日:無休
入園料:無料
アクセス:JR成田線「成田駅」または京成線「京成成田駅」より徒歩約20分
公式ホームページ:https://www.naritasan.or.jp/