二十四の瞳
戦争の悲惨さを伝える、何度も映像化された名作
香川県を舞台とした作品の筆頭が、壺井栄が1952(昭和27)年に発表をした小説「二十四の瞳」でしょう。
「二十四の瞳」原作者の壷井栄
この作品は、戦争の影が色濃くなる昭和初期から戦後まもなくまでの時代を生きた、島の分教場に赴任した大石先生と12人の教え子の物語です。この物語の舞台は「瀬戸内海べりの一寒村」としか書かれておらず、具体的にどこかということは明言されていませんが、作者壺井栄の出身地である小豆島であるという見方が強いです。
はつらつとしていて洋服姿で自転車を乗り回す姿を見て、保守的な地元の人たちからは「ハイカラ」と揶揄されながらも、こどもたちからの信望は篤かった大石先生と、その教え子の絆の強さ、そして純粋な瞳をしたこどもたちが、世の中が戦争へと突き進んでいく流れに巻き込まれ、人生が狂っていく悲劇性を、今の私たちはどうとらえるのか、改めて見る価値のある作品です。
この作品は、現在(2022年10月)映画2本、テレビドラマ8回、アニメ1回と数多く映像化されています。
映画版について紹介します。
①1954年制作
原作者・壷井栄の発表からたったの2年後に、日本で初めて映画化された作品
1954(昭和29)年、最初の映画が作られます。この作品では、製作者もキャストもみな戦争を実際に生きて来た人だけだったため、その作品への思いもリアルさも込められたものとなりました。監督・脚本は木下惠介、大石先生役に高峰秀子です。
この作品は同年に発表された「第28回キネマ旬報ベスト・テン」で1位となりました。ちなみに2位は同じく木下恵介監督の『女の園』、3位が黒澤明監督作の『七人の侍』でした。どれだけ日本人の心を打ったのかがわかります。
そして、この作品によって、「二十四の瞳=小豆島」というイメージが出来上がったのです。
②1987年リメイク版
1954年版の脚本を手掛けた木下恵介が再び脚本化しました。朝間義隆監督、田中裕子主演で制作されました。三枝成彰が音楽を手がけ、第11回日本アカデミー賞 優秀音楽賞を受賞。
ちなみに、途中で戦死してしまう大石先生の夫役として、その4年後に「101回目のプロポーズ」に出演し、話題となる武田鉄矢が…。
作品の世界を感じられる二十四の瞳映画村
1987年版の映画のロケのセットをそのまま活用した、小豆島にある施設です。
作品で描かれた戦前・戦中の学校や家などの様子が再現されています。
絣の着物を着て、映画村内を回ることができます。
岬の分教場の教室
「二十四の瞳」の舞台となった田浦分校
施設内にある「壺井栄文学館」
坪井栄の作品群を紹介した展示
醤油樽のバス停
<スポット情報>
スポット名: 二十四の瞳映画村
住所: 香川県小豆郡小豆島町田浦
電話番号: 0879-82-2455
営業時間:9:00~17:00
定休日: 不定休
予算: 二十四の瞳映画村 大人(中学生以上)890円 小学生450円
岬の分教場 大人(中学生以上)350円 小学生180円
二十四の瞳映画村 岬の分教場セット券 大人(中学生以上)1,000円 小学生500円
URL:https://www.24hitomi.or.jp/