大室山
伊豆・伊東・伊豆高原のシンボルとして、伊豆半島の東側に位置する火山が大室山です。標高は約580メートルと高くはありませんが、国指定の天然記念物に指定されているほか、美しい景観は「静岡県景観賞」優秀賞を受賞しています。山の上でもふもとでもさまざまな楽しみ方ができるため、多くの観光客が訪れるスポットとして人気です。
静岡県東部には伊豆東部火山群と呼ばれる、火山が集中しているエリアが存在します。大室山はそれらに所属する活火山の1つ。山頂にある周囲約1000メートルの火口の特徴的な形状は、約4000年前の噴火により形作られたことがわかっています。まるでお椀を伏せたようなシルエットも特徴的です。また森ではなく草の山であることも大室山のユニークさで、季節によって山肌の色が変化します。春から夏にかけては黄緑から深緑へ。秋はススキの銀色から黄金色になり、冬には山焼きによって黒色へと装いを変えます。草山ならではの衣替えです。
ユニークな特徴が多い大室山ですが、特に顕著なのが山頂の形です。約6分間リフトで空中散歩しつつ上った後、目の前に現れるのは直径300メートル、深さおよそ70メートルの噴火口跡。まさに山のてっぺんがそのまま陥没してしまったかのような形状の周囲は、遊歩道として1周する「お鉢めぐり」ができるよう整備されています。ぐるりと周る間には富士山、南アルプス、伊豆七島、房総半島まで360度見渡すことができます。1周の所要時間は約20~30分が目安です。山頂ではアーチェリーを楽しむことも可能です。初めての人でも気軽に体験できるほどなので、時間が許せばぜひ挑戦してみましょう。中学生以上で身長140センチ以上の人が対象です。
リフト乗り場のある山麓でも、伊豆の魅力を味わえるショップやレストランがあるので訪れてみたいところ。帰途につく前にぜひゆっくり、ご当地限定のお土産など探してみてはいかがでしょうか。
<施設情報>
施設名:大室山登山リフト
住所:〒413-0234 静岡県伊東市池 672-2
電話番号:0557-51-0258
公式サイト:
https://omuroyama.com/
城ヶ崎海岸
城ケ崎海岸は大室山のすぐ近くにある人気の観光スポットです。ちょうど約4000年前に起きた大室山噴火の際に、相模湾まで流れ出した溶岩によって形作られました。溶岩が海水で急激に冷やされることで形成された柱状節理も観察できるなど、地球の活動と太古の昔から流れる長大な時間をイメージさせてくれます。
海岸沿いには「ピクニカルコース」として全長3キロ程度の遊歩道が整備されており、ダイビングスポットや漁港、「ぼら納屋」などをゆっくりと観察しながら2時間程度の散策を楽しむことができます。足元をにぎわせる小さな草花や、溶岩が作り出した無骨で荒々しい海岸線などが実に印象的です。ピクニカルコースの中間点に位置するのは「門脇つり橋」。深くえぐれた海岸線に架けられた長さ48メートル・高さ23メートルの橋は、多少の揺れも手伝ってスリルを感じさせます。それでも、そこから見られる海はまさに絶景です。
門脇つり橋を渡った先には、高さ24.9メートルの「門脇埼灯台」がそびえ立ちます。本来であれば無料で登ることのできる展望室は、360度に開けた視界から海や大室山を望むことができます。現在はコロナ感染症対策のため閉鎖されているのが残念なポイントですが、いつか制限が解除されればまた素晴らしい絶景を楽しめるに違いありません。
全体的にごつごつした岩がちの地形が特徴的な城ヶ崎海岸ですが、ピクニカルコースの最後に待ち受けているのは「いがいが根」と呼ばれる特殊な場所。その名が連想させる通りいがいがとした見た目の地面が広がっています。大室山から流れてきた溶岩が冷え固まった後、さらに流れてきた溶岩に押されてバラバラに砕かれたため、岩のとがった部分が多くむき出しになったようです。地球のもつ計り知れないエネルギーを垣間見られるスポットとなっています。時間と体力が許せば、ぜひ到達してみてください。
<施設情報>
施設名:城ヶ崎海岸
住所:〒413-0231 静岡県伊東市富戸
白糸の滝
富士宮市にある「白糸の滝」は、日本の滝百選に選ばれる非常に有名な滝です。国の名勝、天然記念物、さらには日本三大名瀑に選ばれることもあるなど、数々の肩書が与えられています。この名の付された滝だけでなく近くにある「音止(おとどめ)の滝」も併せて、多くの人が訪れる人気の観光地です。
地表にむき出しになっている川が途中で段差に落ち込むのが一般的な滝だとすると、白糸の滝は特殊な構造と言えます。古富士泥流層と呼ばれる、富士山の火砕流によって生み出された地層の隙間には富士山の地下水が流れています。白糸の滝はその地下水が岩肌から流れ出ているような見た目をしており、大小数百の滝が集まっています。幅150メートルの湾曲した絶壁から無数の細く白い筋が流れ落ちるさまは、まさに白糸と呼ばれる由来。絹糸を幾筋も垂らしているかのような幻想的な美しさが特徴的です。
白糸の滝を流れ落ちる水はほとんどが富士山から流れてきたもの。年間を通じて水温は12度をキープしており、夏に滝つぼを訪れると周囲に冷えた爽やかな風をもたらしてくれます。マイナスイオンを全身で受けながら癒されましょう。
女性的で優雅な白糸の滝に対して、高さ25メートルの絶壁から迫力ある轟音とともに流れ落ちる「音止の滝」。白糸の滝から歩いて約5分の所に位置しており、2つの滝の対照的な個性を比較しながら楽しむことができます。
<施設情報>
施設名:白糸ノ滝
住所:富士宮市上井出273-1
営業時間:白糸ノ滝駐車場:9:00~17:00(冬季は16:30まで)
電話番号:富士宮市観光協会 0544-27-5240
龍宮窟
伊豆半島エリアは火山活動と海の波が織りなす興味深い地形がたくさん存在しますが、「龍宮窟(りゅうぐうくつ)」もまた大変特殊な場所の1つです。海に面するがけの弱い部分が波によって削られ洞窟ができるケースがあり、こうしてできた海の洞窟は海食洞(かいしょくどう)と呼ばれるとのこと。龍宮窟の場合は天井にぽっかりと穴が開いていて、その下にはめったに見ることのできない不思議で神秘的な空間が広がっています。
海食洞の天井が崩落し、その後何度も落盤が起こることにより広がりながら現在の形状となった龍宮窟。今では開いた天窓が直径約50メートルにも達しており、閉ざされた洞窟でありながら青空の広がる開放的な雰囲気を兼ね備えています。洞窟の壁は堆積した火山れきによって美しい層ができているのが印象的です。天井からは太陽の光が降り注いでいて、岩や青い海も手伝ってとても爽やかで居心地の良い場所を作り出しています。
龍宮窟は中に入って下から見上げるだけでなく、上の遊歩道から見下ろして眺めることもできます。見どころは「愛のパワースポット」としてカップルの間で人気のビーチです。大きな天窓は2つに分かれていて、その形はまさにハート形。カップルのみならず、大切な人との絆を深めたい多くの人の心をほっこりとさせてくれる場所となっています。
<施設情報>
施設名:龍宮窟
住所:〒415-0029 下田市田牛
柿田川湧水群
日本に存在する一級河川のうち、全長約1.2キロと最も短いものが柿田川です。全国的に有名な長良川・四万十川とともに日本三大清流にも数えられる非常にきれいな水質を特徴としています。柿田川のさらにユニークなポイントは、主要なものだけでも数十カ所という大量の湧水が水源であるということ。柿田川の水源は「柿田川湧水群」として名水百選に選定、さらに国の天然記念物にも指定されています。
柿田川に流れる豊富な湧水量は、1日当たり約100万立方メートルとのこと。この数字は「東洋一の湧水量」と呼ばれるほど大きな数字で、近隣地域の貴重な水資源となっています。ちなみに富士山周辺に降った雨や雪が湧き水として再び地上に出てくるまでには、26~28年もの年月がかかるという分析結果が出ているようです。今湧き出る水が若い世代の人の人生よりも長い間地中を旅していたと思うと、何となくロマンを感じてしまうのではないでしょうか。
市街地を流れる柿田川の水源は、柿田川公園で多く観察することができ、自然あふれる観光スポットともなっています。湧き水が湧き出るポイントは「わき間」と呼ばれており、公園内に何カ所も存在していて眺めることができます。展望台も設置されており、そこから目視でもはっきりとわかるほどブクブクと地下水が湧き出ています。この場所で湧き出た水は水飲み場で自由に飲むことができます。ミネラルや炭酸ガス、酸素が豊富に含まれた、夏でもひんやり冷たくておいしい飲料水を堪能してみたいところです。
柿田川公園には希少な動植物が多く生息していることも有名です。特にアオハダトンボは柿田川だけで見られるトンボとされています。またきれいな湧き水のおかげでホタルがたくさん生息する名所ともなっていて、6月から7月には多くの人がホタル観賞に訪れます。
<施設情報>
施設名:柿田川公園
住所:〒411-0907 静岡県駿東郡清水町伏見71番地の7(国道1号沿い)
電話番号:清水町都市計画課 055-981-8224
公式サイト:
http://www.town.shimizu.shizuoka.jp/toshi/toshi00054.html
まとめ
以上、静岡県にある魅力的な自然や景観5選でした。山に海に川と、まるで大自然の一部を凝縮して切り取ったかのような、とても楽しいエリアです。ぜひ家族や友達、大切な人とともに訪れ、楽しい時間を過ごしてみてください。