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【東京】江戸城跡を中心に広がる千代田区で早春に人気の桜のお花見スポット

【東京】江戸城跡を中心に広がる千代田区で早春に人気の桜のお花見スポット

2025-03-06 Obaq

桜の花を見る習慣は、日本の春の風物詩として、すっかりと定着しています。全国各地に数え切れない数の桜の名所が点在しています。東京都千代田区にも、数多くのお花見スポットがあります。桜の見頃時期には、「千代田のさくらまつり」も開催されます。本記事では千代田区内で桜の名所として都民に人気のある、千鳥ヶ淵、北の丸公園、外濠公園、神田明神の4スポットをご紹介します。
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国内では47都道府県、海外では67ケ国を巡っております。この経験をいかし、
幅広い視野で観光スポットの魅力や特徴をお伝えして参ります。

半蔵門から田安門の間に掘られた内濠の千鳥ヶ淵

首都東京の中心にある皇居は江戸時代には、徳川将軍家が幕府を置く江戸城でした。国家の中枢機関ですから、徹底した防御施設を完備しなければなりません。幾つもの建造物を取り囲むように、何重にも濠が張り巡らされていたのです。都心には今でも円周を描くように長い濠が残され、江戸時代の面影を偲ぶことができます。江戸城の西端の半蔵門から、北端の田安門の間に掘られた内濠は、千鳥ヶ淵と呼ばれています。濠に沿って桜が植栽され、例年3月下旬から4月上旬にかけて早春の彩りで包まれます。都内でも屈指のお花見の名所で、毎年大勢の人々で賑わいます。

江戸城の重要な水源となった千鳥ヶ淵

千鳥ヶ淵は局沢川(つぼねさわがわ)と呼ばれていた川を2つの土橋で、せき止めることによって作られました。完成後は江戸城の防御ばかりでなく、重要な水源としての役割も果たしました。徳川家康が江戸幕府を開いた頃の江戸は、海に面した低湿地で井戸水に大量の塩分が、含まれていました。井戸水が飲料水としては使えないので、飲料水を確保するために近くの河川がせき止められたのです。千鳥ヶ淵の濠は、本丸と西の丸の間を通り、現在は日比谷公園が整備されている日比谷入江に流れ込んでいたと伝わります。

全長約700メートルの桜の花のトンネル

千鳥ヶ淵の名前の由来は、冬に都鳥などが多く集まるということや、V字型の濠が千鳥に似ていることなどが、考えられているようです。1881年に英国大使館の前に桜が植えられて以来、濠に沿って次々に数が増やされていきました。今ではソメイヨシノやオオシマザクラなど260本前後の桜が並木を築いています。早春には薄紅色の花で覆われ、全長約700メートルの千鳥ヶ淵の緑道は、桜の花のトンネルに変身します。

ボートで漕ぎ出し水面から眺める桜の花

千鳥ヶ淵の緑道を徒歩で散策する他にも、魅力的なお花見の方法があります。濠にボートで漕ぎ出し水面から、せり上がる桜の花を見ることができるのです。ボートの乗場は、千鳥ケ淵戦没者墓苑の北東です。種類もスワンボート、サイクルボート、手漕ぎボートが準備されています。お花見デートをするカップルもたくさん現れます。2人で桜の花の下の水面を滑れば、ロマンチックなムードに浸れることでしょう。ところが、お花見の時期はとても混雑します。待ち時間も計算に入れて、早めに乗場に行った方がよさそうです。

「千代田のさくらまつり」期間中に運行されるシャトルバス「さくら祭り号」

さらに、「千代田のさくらまつり」の開催期間中には、無料の丸の内シャトルバス「さくら祭り号」が特別運行します。コースの一部となっている首都高速都心環状線は、千鳥ヶ淵の濠を渡ります。左右の車窓には桜並木が広がる光景は壮観です。都心で憩いのオアシスを感じることができそうです。

<施設情報>
施設名 区営千鳥ヶ淵ボート場(くえいちどりがふちぼーとじょう)
住所 東京都千代田区三番町2先
電話番号 03-3234-1948
営業時間 10:00から17:00(受付時間は営業終了の30分前まで)
定休日 毎週月曜日(ただし祝祭日の場合は翌日以降の平日が休業日、観桜期は無休)/冬季休業(12月から2月)
料金 通常期=30分500円、60分1,000円/観桜期=30分800円、60分1,600円
アクセス 東京メトロの東西線・半蔵門線、都営地下鉄新宿線「九段下駅」2番出口より徒歩約10分/東京メトロ半蔵門線「半蔵門駅」5番出口より徒歩約10分

北の丸公園

北の丸公園の入口の田安門は江戸城最古の遺構

千鳥ヶ淵の東には北の丸公園が整備されています。田安門が北の丸公園の入口の役割を担っているようです。現在まで残っている門は江戸幕府第3代将軍、徳川家光の時代の1636年に建築されたもので、現存する旧江戸城の遺構の中で最も古いものです。

北の丸公園の敷地は江戸時代には、江戸城の北の丸が建造されていました。明治時代になると旧日本陸軍の兵営地として利用されましたが、第二次世界大戦後には皇居周辺の緑地として、森林公園への改修が進められたのです。芝生広場や池が整備され、ヤマモミジ、ケヤキ、コナラ、クヌギなどの里山の木々、野鳥が好む実をつける木、花木などが次々に植えられました。そして1969年には昭和天皇の還暦を記念して、広く一般に公開されるようになったのです。ソメイヨシノやオオシマザクラなどの早咲き、遅咲きの桜も330本前後、植栽されています。例年3月下旬から4月上旬にかけて、薄紅色の花を咲かせ公園を彩ります。

北の丸公園の周辺には、江戸城の桜田門などの歴史的建造物、東京国立近代美術館、工芸館、昭和館、国立公文書館、科学技術館などの文化施設が建ち並んでいます。東京国立近代美術館工芸館の洋館は、桜の花で早春の化粧をまといます。

<施設情報>
施設名:北の丸公園(きたのまるこうえん)
住所:東京都千代田区北の丸公園1-1
電話番号:03-3211-7878
アクセス:都営新宿線 東京メトロ半蔵門線「九段下駅」徒歩5分
東京メトロ東西線「竹橋駅」徒歩5分

外濠公園

飯田橋駅から四ツ谷駅の間を整備した外濠公園

何重にも濠を張り巡らした江戸城には内濠を囲むように外濠が設けられました。JR中央線、総武線の飯田橋駅から四ツ谷駅の間には牛込濠、新見附濠、市ヶ谷濠が残っています。濠の東側は外濠公園と呼ばれています。車道から一段上がったところに遊歩道が設置されているので、車を気にすることなく散歩することができます。

約2キロにわたってソメイヨシノ、ヤマザクラなど240本前後の桜が並木を作ります。桜の本数は対岸を合わせると730本前後となるようです。頭上の桜と濠越しの桜を、角度を変えて見ることができます。

通勤電車の中からでも楽しめるお花見

外濠公園の桜は遊歩道を散策しながら鑑賞できるばかりでなく、電車からも見ることができます。公園の対岸をJR中央線、総武線が走っているのです。飯田橋駅から四ツ谷駅までの区間の車窓には桜の姿が絶えることはありません。4分前後の乗車時間がお花見タイムとなるのです。車窓を流れる桜の花を眺めれば、通勤電車が楽しくなるかもしれません。鉄道ファンであれば見逃すことができないスポットと言えるでしょう。

<施設情報>
施設名:外濠公園(そとぼりこうえん)
住所:東京都千代田区五番町先
アクセス:JR中央線・総武線、東京メトロ丸ノ内線・南北線「四ツ谷駅」より徒歩約5分

神田明神

江戸時代から「江戸総鎮守」として篤く信仰された神田明神

神田明神は千代田区外神田に社殿を構える神社です。社伝によると奈良時代の730年に出雲系の真神田臣(まかんだおみ)が、大己貴命(おおなむちのみこと)を祖神として祀ったのが起源とされています。戦国時代になると、太田道灌(おおたどうかん)や北条氏綱(ほうじょううじつな)などの名立たる武将から手厚い保護を受けました。江戸時代には江戸城の表鬼門守護の役割を担い、徳川幕府によって社殿が造営されたのです。それ以来「江戸総鎮守」として、将軍家ばかりでなく江戸の庶民からも篤く信仰されるようになりました。隔年で5月中旬に行われる「神田祭」は、「江戸三大祭り」の一つに数えられています。山車(だし)が将軍上覧のために、江戸城内に入ったことから、「天下祭」の別称で呼ばれることもあります。神社の境内には数多くの桜が植栽されており、例年3月下旬から4月上旬にかけて花を咲かせ、参拝者に春の訪れを知らせてくれます。

神社の正面玄関には1975年に昭和天皇の御即位50年を記念して、総檜・入母屋造り(そうひのき・いりもやづくり)で隨神門が建立されました。鮮やかな朱色の隨神門は、早春には内外から薄紅色の桜で包み込まれます。

境内の中央に権現造りで造営された御神殿も、早春には薄紅色の化粧をまといます。御神殿を取り囲むように幾つもの境内社の社殿が建立されており、各々の社殿に寄り添うように桜が植栽されています。

隣接する宮本公園は静かにお花見が楽しめる穴場スポット

桜が覆っています。この公園は、茶道「江戸千家」発祥の地なのです。創始者の茶人、川上不白(かわかみふはく)は1755年に神田明神の境内に「蓮華庵」に建て、千家の茶の湯を江戸の人々に広めました。また、江戸時代より材木商を営んでいた遠藤家の店舗兼住居を移築、改装したカフェが公園に面して店舗を構えています。園内には落ち着いた雰囲気が漂い、花見客で混み合うことはほとんどないので、静かにお花見が楽しめる穴場スポットと言えるでしょう。

<施設情報>
施設名 神田明神(かんだみょうじん)
住所 東京都千代田区外神田2-16-2
電話番号 03-3254-0753
アクセス JR中央線・総武線「御茶ノ水駅」聖橋口より徒歩約5分

まとめ

本記事では東京都千代田区のお花見スポットとして、千鳥ヶ淵、北の丸公園、外濠公園、神田明神の4スポットをご紹介しました。江戸時代には江戸城が建造されていたエリアの全周に桜の名所がちりばめられています。歩きながら鑑賞するばかりでなく、ボートやバス、電車などの乗物からもお花見をすることができます。自分の好みに合った方法でお花見が楽しめそうです。

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