お気に入り 日本語 USD

ツルっとしたのどごし! 新潟エリアの魅力的なへぎそば5選

 ツルっとしたのどごし! 新潟エリアの魅力的なへぎそば5選

2024-04-17 香田あつし

和そばによく精通した人であれば知っているかもしれませんが、新潟以外の地域ではほとんど耳にする機会のない「へぎそば」。新潟県内で生まれ発展してきたそばの1つで、同地域では一般的に食されているご当地グルメです。「へぎ」というのはへぎそばのアイデンティティとなる器のこと。「剝ぐ(はぐ)」という動詞がなまったことでできた名前とされていて、その名の通り木をはいだ板が使われています。いわば「ざるそば」で言うところの「ざる」が「へぎ」に置き換わったようなものです。さらに特徴があり、それはつなぎとしてフノリを使用した滑らかなそばを美しい織物のように並べるというもの。味も見た目も独特の個性を放つご当地そばなのです。今回は、本場新潟県内でへぎそばを提供している人気店を5軒ピックアップしました。どうぞご覧ください。
香田あつし

この記事を書いた人

香田あつし

兵庫県出身。自分の知らない世界を見られるならたとえ地球の裏側にでも行ってしまうような人間です。食べることと交通、特に鉄道が大好き。読む人の旅のクオリティが最大限上がるような情報をご提供します。

小嶋屋総本店



質の高いへぎそばを提供するお店として「ミシュランガイド新潟2020」にも紹介された老舗「小嶋屋総本店」は、創業100年を超える歴史ある有名店です。とはいえ決して敷居の高い存在というわけではなく、リーズナブルな価格とおもてなしは地元の人から旅行客、若い人からお年寄りを含む家族連れまであらゆる人を迎え入れます。

そば屋さんはお店のシンボルとして、粉を挽くための水車を置いていることが少なくありません。小嶋屋総本店に近づいたときにも、遠くから認められるほど大きな水車がお出迎え。良い意味でインパクト抜群で、名店の存在感を際立たせます。お店の中へ入ると、温かい和風の空間が広がります。なんと内装の土壁には、へぎそばのつなぎとして使われる材料「フノリ」が使われているとのこと。へぎそば屋としてのこだわりが建物の細部に至るまで随所に感じられます。全体的に欅材の使われた古民家調となっていて、とても落ち着きのある空間です。



小嶋屋総本店の看板メニューは「天へぎ」です。こちらは1人前が税込1628円で、海老や野菜などの天ぷらとセットになっています。ツルツルとしたのどごしが味わえるそばは小嶋屋総本店の真骨頂。またサクサクの天ぷらもとても好評で、初めて来店する際にはまず注文して間違いのないメニューと言えます。へぎそばの単品は1人前税込880円とこちらもリーズナブル。お手頃価格で本物の味をしっかりと堪能できます。季節限定メニューもよく提供されているので、リピーターも飽きないお店です。



へぎそばの名店としてあらゆる部分でプライドを感じさせます。地元の人であれ旅行客であれ、店員さんの接客態度を賞賛する声が多いのは何よりの証拠。さらにフノリをそばに使うというユニークな食文化を現代にも伝えるべく、店舗入り口のディスプレイコーナーには「へぎそば物語」と題された展示が配置されています。写真パネルや実際の古民具などとともに、へぎそばが発展してきた歴史を紹介しています。

<店舗情報>
店舗名:小嶋屋総本店・本部
住所:〒948-0135 新潟県十日町市中屋敷758-1
電話番号:0120-4545-81
公式サイト:https://kojimaya.co.jp/

わたや

昭和の時期には天皇陛下御一家が御賞味されたという「わたや」も、今では創業100年を超える歴史ある名店として人々から愛されています。店舗で提供される出来立てのそばのみならず、自宅でも楽しむことができる乾麺をはじめとした商品の開発にも取り組んでいるのがポイントです。伝統を受け継ぎながらも常に新しいスタイルを追求していく姿勢は、1人でも多くの人にへぎそばの魅力を知ってほしいという熱い想いを伝えています。

信濃川や河岸段丘に豊かな緑など、自然あふれる風光明媚な小千谷(おぢや)市に構える本店。昭和46年に建てられた現在の本店の建物は、創業時から変わっていません。創業当時の雰囲気をそのまま現在に至るまで伝えるノスタルジックなお店は、老舗そば屋にふさわしい風格をもって訪れる人をもてなします。



ベーシックなへぎそばは1人前935円からとなっています。また良いそば屋さんでは食材にこだわった天ぷらも人気です。さらに注目したい同店の人気メニューは「鴨南蛮つけそば」1人前1386円。冷たいそばをアツアツのつけ汁とともに頂く新しいスタイルのそばは、運ばれてくる時点から漂ってくる鴨の香ばしい香りがたまりません。最後はそば湯で割ってスープとしても味わえるとのことです。ほかにも期間限定メニューではさまざまな味覚に挑戦していて、過去に実際にあったものとしては「海鮮キムチチゲそば」など。斬新な発想でへぎそばに新たな風を吹き込みます。来店時には要チェックです。



わたやでは、一見そばとは縁遠く思えるラー油を開発しています。その名は「みどりのラー油」。使用されている主な原料は「かぐら南蛮」。ピーマンのように丸っこい形状の唐辛子です。真冬に4メートルもの雪に閉ざされるという小千谷塩谷地区ならではの、立派に育った大ぶりのものを使用していると言います。凝縮された鮮やかな緑色と爽やかな辛さは、へぎそばとの相性が抜群。店舗でも、持ち帰りまたは配達でご自宅でも楽しむことができます。

<店舗情報>
店舗名:わたや 本店
住所:〒947-0021 新潟県小千谷市本町2-3-34
営業時間:平日11:00~15:00(LO14:30) 土日祝10:45~20:00(LO19:30)
定休日:月曜日(月1~2回)
駐車場:15台(無料)
電話番号:0120-255-120 / 0258-82-2258
公式サイト:https://www.watayasoba.co.jp/

越後へぎそば処 粋や

新潟市内でひときわこだわりの詰まったへぎそばを提供しているのは、意外にもショッピングモール「DeKKY401」内で営業しているお店「越後へぎそば処 粋や」です。気軽に立ち寄れる立地の良さとは裏腹に、提供されるそばはこだわりの素材とともに1から丁寧に作り上げられた逸品。買い物のついでにふらっと名物グルメをランチやディナーで楽しめるのは、何ともぜいたくです。



粋やで提供されるそばで特に注目すべきポイントは、何といってもこだわって選ばれた原材料です。主原料である蕎麦粉だけ見ても、組み合わせる素材1つ1つの個性をしっかりと見極められていることが伝わります。たとえば、同店で主に使われてきたのは北海道産の蕎麦粉「きたわせ」。しかしそれとは別に、佐渡島で自家栽培した蕎麦粉も組み合わせているとのこと。品種の見極めの際には、自家栽培する標高300メートルの場所と同じ環境下で育てられた良質な種を選ぶという徹底ぶり。いかに素材を大切に扱っているかがわかります。



アクセス性の良さが光る粋やですが、価格がお手頃でちょっとしたランチの選択肢にも入れやすいのがいいところ。へぎそば1人前は870円と、リーズナブルな価格設定となっています。さらに幅広い客層に対応するように、メニューのバラエティも大変豊富です。たとえば「豚汁つけそば」には新潟のブランド豚の1つである村上四葉ポークが使われていて、あふれ出る豚の甘みは多くの常連客を唸らせます。ほかにも「カレーそば」など、親しみやすい定食屋を思わせる品目の数々を揃えています。ぜひ1度足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。

<店舗情報>
店舗名:越後へぎそば処 粋や
住所:〒950-0973 新潟県新潟市中央区上近江4-12-20 DeKKY401 1F
営業時間:11:00~16:00、17:10~21:00(L.O.20:00)
定休日:元旦、第1・第3・第5水曜日(「DeKKY401」の休日に準ずる)
電話番号:025-282-7288
公式サイト:https://www.ikiya2013.com/

元祖小千谷そば 角屋



良質なそばの産地として知られる小千谷には、へぎそばの名店がいくつも存在します。中でもすでに紹介した「わたや」と並んで名高いとされているのが「角屋(かどや)」です。地元で尋ねればまずは角屋をすすめる人が少なくないほど、角屋で提供されるそばや天ぷらは根強いファンを虜にしています。熱さを感じる夏も年越しそばも、のどごしの良いへぎそばは最高です。



人気と立地が合わされば、おいしさを求めて当然多くの人が集まります。開店時間に行っても先客が並んでいるのが当たり前となっている中野屋には、ある程度時間に余裕をもって行くのがおすすめです。内装はシンプルで上品かつ木のぬくもりを感じさせる和風テイスト。カウンター席やテーブル席が用意されていますが、そば屋さんらしく座敷が多く配置されています。

地域で愛されるそば屋さん兼居酒屋として、温冷ともにそばとうどん、また一品料理を豊富に扱っています。もちろんへぎそばのクオリティは言わずもがな。ボリュームも満点で注文すれば大満足間違いありません。そばが運ばれてくるまではお酒とともに一品料理を楽しむこともできます。また実はそばと同じくらいこだわっているといううどんもおすすめ。そのこだわりはうどん専門店の出店をもくろむほどなのだとか。リピートする際にはぜひ試してみたい品です。

<店舗情報>
店舗名:中野屋湯沢本店(東口駅前)
住所:新潟県南魚沼郡湯沢町湯沢2-1-5
営業時間:11:00~20:00
定休日:木曜
電話番号:025-784-3720
公式サイト:http://www.umaisoba.com/

まとめ

以上、新潟県内で特に人気のあるそば屋さん5店舗をご紹介しました。歴史とともに伝統を受け継ぐお店がたくさんあり、地域の人々からもしっかりと愛され守られてきていることがよくわかります。四季それぞれ旬の食材とも相性抜群のそばは、年間を通じて楽しめる貴重なグルメ。ぜひ他の地域にお住いの人も、新潟を訪れる際にはへぎそばをお試しください。

おすすめ記事